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<<   作成日時 : 2008/08/19 15:00   >>

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今年の芥川賞の受賞作品「時が滲む朝」を読みました。

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                            (文藝春秋 2008年9月号より)

芥川賞の受賞作品は、私が定期購読している雑誌「文藝春秋」に必ず掲載されますので、ここ30年以上欠かさず読むようにしております。

今回の受賞作品は、日本に住む作家の楊逸(ヤンイー)さんが書かれたものですが、日本語以外の言葉を母国語とする作家が芥川賞を受賞するのは初めてのことということで、特に、話題になりました。

小説の大枠は、1989年の天安門事件の時期に民主化運動に身を投じた青年が大学を追われ、その後の10数年にわたる生き方を当時の時代背景をとらえつつ表現しています。

芥川賞の選考委員の方々の選評を拝見してみますと、かなり委員によりましてその評価には落差があります。

ある高名な先生は「単なる風俗小説の域を出ていない」と書かれています。

面白いことは、男性の委員の方は辛口の評価であるのに対し、女性の委員の方は共鳴を感ずる、という評価が多いことでしょうか。

私はこの小説の中において、青年が地方の難関の大学に入学した時の高揚感、入学後しばらくしてから、天安門事件に関わることによる挫折、そして、その後の日本での生活や友人とのめぐり会いなど激動の時代背景を踏まえたストーリー展開は、自分なりに琴線に触れるところが多くありました。

ここ数年の芥川賞の受賞作品については、私自身の感性が乏しい為か、読んだ後の充足感が乏しい、と感ずるところが多かったのに対し、今回は、久しぶりに満足のゆくものでした。

純文学の芥川賞に対し、大衆文学の直木賞といわれます。

しかし、純文学と大衆文学との境界ははっきりしているのでしょうか。
それぞれの定義も私にはわかりません。
なんとなく雰囲気的には判りますが・・・。

小説は、読者に対し作者が伝えたいことを、その登場人物の行動や発言を借りて、全体のストーリーの中で表現するものではないでしょうか。

そして、その作者の意図するところについて、読者の共感を呼ぶことが1つの大切な目的のように思いますし、そこには純文学とか大衆文学とかの境界は無いように思います。

皆さんはいかがお感じですか?


今回の「時が滲む朝」を読みまして、私は、あの天安門事件の時の中国の若者が、何を求めていたのかにつきまして、少しばかりの発見がありました。

特に、「民主化」ということです。

当時の日本での新聞報道などでは、「中国の若者が民主化を要求」というフレーズがよく見られました。

なんとなくわかった様なわからないような表現でした。

あの共産党一党独裁の中国の体制化で「民主化」って何?という事で、
それ以上の深い解釈はできませんでした。

なんとなく良くわからないまま、天安門事件が発生し、多くの方が犠牲になったという事実関係のほうに関心が移ったように思います。

「時が滲む朝」のなかでの登場人物の話の中に、こんなやり取りが出てきます。


「これからは、政府にどんな要求をするのですか?」

「もちろん民主化するように」

「どうすれば、そうなれるんですか?」

「欧米国家みたいに与党があって、野党があること。
互いに監視しあい牽制するからこそなれるんだ、一党支配のままじゃ独裁国家だ。

「じゃ、野党を作るのですか?」

「現在民主党派はいくつもあるけど、ただ機能していないだけだ」


と言ったくだりが何回も出てきます。

この小説の中でのフレーズが、当時の若者たちの会話を再現しているとしたら、共産党一党支配体制を崩すことが、当時の民主化要求の本質であったのですね。

私はこの小説を読むことによりまして、不覚ながらはじめて、その当時の民主化要求の中身を知りました。

「民主化要求」という上すべりの表現だけで事足れり、としていた当時の新聞をはじめとするマスコミを責めるつもりはありません。

私は、演繹的で、多少、概念的な表現がすべて悪い、と申し上げるつもりはありません。

時と場合により、かなり適切に物事を指し示す場合があります。

しかし、そればかりでは限界もありますし、中身を十分に言い当てることが出来ない場合が多々あります。


企業経営をされておられる皆さん。

部下を含め、多くの方々に自分の考えを示す時などに「何故、自分の言っていることが理解してもらえないのだろう?」とお悩みの方はおられませんか?

もう一度、ご自分の話の中での表現を見直して見ましょう。

例えばの事例で

「健全な企業」を目指そう。
と皆さんが社員の方に号令をかけたとします。

しかし、このままでは、従業員によりまして、解釈がバラバラになります。
また、この後、社員の方はどう行動したらよいか戸惑ってしまいます。

「お客様や会社に関係する多くの方々に支持され、末永く続く会社」を目指そう。

とすると、多少はわかり易くなります。
また、ここから具体的な方策が幾つか出てきそうです。

@会社が末永く続くための要件は何か
A会社に関係する方々とは<従業員、取引先、銀行、役所、出資者、地域、住民・・・>
Bそして、それぞれへの対応はどうあるべきか

といったように、いろいろと考えが出てきます。

ここから大勢の方々の知恵や汗が期待でき、組織としての相乗効果が発揮されます。

組織におけるコミュニケーションの力というのは、自らの力を大勢の力へと伝播させることですね。

ここのところを忘れないようにしましょう。


わたくしども経営コンサルタントは、このコミュニケーション力が命です。

それだけに、毎日のように自分のあの時の発言は適切だったか、そして効果的だったかを反省しています。

だけど道は遠いですね。



それにしても、楊逸(ヤンイー)さんはすごいと思います。






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コメント(1件)

内 容 ニックネーム/日時
久々の登板お疲れ様でした。
私も時の滲む朝、よんでみようかな。
gdshd721
2008/08/19 19:44

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